キャッシュインカムは新規の成長投資や借入金返済に充ててもよいが、配当や自社株買いなどの株主還元の原資でもある。総還元性向(キャッシュインカムに占める配当と自社株買いの比率)は上昇トレンドにあり、日本企業は株主還元に積極的になってきている。今後は業界再編などによって投資効率が改善すれば、潤沢な内部留保もあるため増配余力は一段と高まるのではないだろうか。
そして、企業が成長投資、借入金返済、株主還元のいずれも実行しなければ、残ったキャッシュは内部留保となり純資産が増加する。非オーナー企業が目的もなくキャッシュを蓄積し続ければ、敵対的M&AやTOBの標的になり得る。
つまり、いずれにしても可能な限り少ない投資で高水準のフリーキャッシュフローを安定的に創出できる企業こそが長期投資に適した日本株であると言える。
<公的年金基金という援軍も登場>
最後に重要な株価サポート材料を言い添えておきたい。今月6日に開催された「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」において、厚生労働省は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し、改革案を提出した。
具体的には、1)適度なインフレ環境に移行しつつある経済環境ではあらかじめ「国内債券中心」を示す必要はない、2)フォワードルッキングな視点も踏まえて運用目的・運用目標に即したポートフォリオを構築すべき、3)運用目標などからの下振れリスクが一定程度超えないことを新たな指針として採用する、4)物価連動債やREITなど運用資産を多様化すべき、4)企業収益などに着目したファンダメンタルインデックスの活用を検討すべき、5)議決権行使については「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)を踏まえた方針を策定すべき、といった内容だ。
同専門委員会は3月末を目途に年金基金に求める運用利回りの基礎となる経済前提を詰め、最終報告書を発表する見込みである。GPIFをはじめとする公的年金基金は同専門委員会の方針を受けて基本ポートフォリオや運用手法の見直しに着手するため、早ければ5月連休明け、遅くても安倍首相が成長戦略(第2弾)を発表する6月中に「公的年金資金の運用見直し」が各公的年金基金から発表されるのではないか。
GPIFの監督官庁で「国内債券中心」からの逸脱に極めて慎重だった厚労省が踏み込んだ見解を示したことで、公的年金基金による国内株式配分比率の引き上げは既定路線となった。タオバオ代行
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